- 生きるチカラ・元気をもらえる
- 感動する
戦争に関するオススメの本を5冊紹介します。紹介するのはすべてノンフィクション(史実や記録に基づいた文章)です。
たった一人の30年戦争
戦後50年。だがルバング島“最後の帰還兵”の元少尉には戦後20年だ。男が生と死のはざまで見つめた戦争と平和。
著者の小野田寛郎さん、終戦を知らず30年間フィリピンの島におられた方です。
ただ山に篭っているだけではなく、時に焼き畑などをして自分の存在を知らしめながら。
私が小野田さんのとても好きなところは、島におられるとき、
決して女性と子供に危害を加えなかった
というところ。小野田さん曰く、
自分の欲は、本来の任務とは関係ない
という思いからそうされていますが、とても強い意思だと思います。30年間同じ島にいて、女性と子供にまったく危害を加えていないこともあり、島を帰還するときにはフィリピンの軍人からも祝福されています。人とは思えないくらいの意思の強さに感服です。
私は魔境に生きた―終戦も知らずニューギニアの山奥で原始生活十年
昭和十九年六月、孤立無援の東部ニューギニアで味方部隊の再来を信じて篭城した日本軍兵士十七名。熱帯雨林の下、飢餓と悪疫、そして掃討戦を克服して生き残った四人の男たちのサバイバル生活を克明に描いた体験記。敗戦を知らず、十年間の“生存”に挑んだ逞しき日本兵たちのノンフィクション。
太平洋戦争時、食料や武器の補給が切れたニューギニアで自活、農園開拓して10年間生き抜かれたことについて記されています。
小野田さんとは違い、出来るだけ現地の人や外界に接しないようにサバイバルされてます。17名から最終的には4名の兵士の方々が帰還。
生き残られた方の「生き抜く」という意思の強さ、未開のジャングルで10年間生活された「日本人の知恵」がひしひしと感じられて、元気をもらえる本です。
収容所(ラーゲリ)から来た遺書
敗戦から12年目に遺族が手にした6通の遺書。ソ連軍に捕われ、極寒と飢餓と重労働のシベリア抑留中に死んだ男のその遺書は、彼を欽慕する仲間達の驚くべき方法により厳しいソ連監視網をかい潜ったものだった。悪名高き強制収容所に屈しなかった男達のしたたかな知性と人間性を発掘して大宅賞受賞の感動の傑作。
シベリアで抑留され、極寒の地で戦後12年もの間強制労働をさせられた後やっと帰国された方たちの記録です。
本書の主人公として書かれている方は残念ながらシベリアで亡くなられています。収容所からメモ、手紙などを持ち出すことは許されていませんでしたが、その方の遺書をご遺族に渡すためにとった仲間の行動には涙せずにはおられません。私は飛行機の中で読み、一人で隣の人に気付かれないように泣いてました。
極寒のシベリアで12年も抑留されながら、帰国することを決してあきらめなかった強さと優しさがもらえる本です。
17歳の硫黄島
志願兵として玉砕の地・硫黄島で戦い、傷つき、壕の中で生き延びること約三ヵ月。硫黄島で死んだ仲間達を思い続け、六十一年目に初公開する少年兵の心と身体に刻まれた戦争。
著者の秋草鶴次さんは、手足に重傷を負ったため硫黄島最後の総攻撃には参加できず、地下壕に身を寄せて炭などを食べて生き延びておられます。
最後は壕の中で気を失っているところで終戦になり、米兵に助けられているところも印象的です。
秋草鶴次さんは2016年8月現在ご存命で、全国各地で自身の戦争体験を伝える講演活動を行っておられます。
2018年に90歳で老衰のため亡くなられています。
逃亡(吉村昭 著)
昭和19年、霞ヶ浦海軍航空隊で苛酷な日々を送る彼は、見知らぬ男の好意を受け入れたばかりに、飛行機を爆破して脱走するという運命を背負う。戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描き切った傑作。
食料も配給制、鉄道や船での移動にも憲兵隊の目が光る時代に、どこまでも逃げ切る姿勢にページをめくる手が止まらない本です。終戦直後からの時代の移り変わりも、とてもリアリティに感じられます。
著者の吉村昭さんは、他にも様々な戦争に関するノンフィクション本を書かれています。
- 空白の戦記
- 陸奥爆沈
- 海軍乙事件
- 背中の勲章
等の本も読みました。どれも興味深く読み進められるのですが、「逃亡」が一番インパクトが強かったです。初めは図書館で借りたものを読んだのですが、どうしてもまた読みたくなり購入しました。
戦争で亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りします。