バウムテストとは木の絵を描く心理テストで、絵画療法の一種です。
樹木画テストとも言われており、スイスの心理学者、カールコッホが1945年に創始してます。対象年齢は問わず、幼児から大人まで幅広く使われています。
カウンセリングでは、思いや感情を言葉にするのが得意でない方に使われるケースが多いですが、特に精神疾患が無い健常者が実施しても、心の深い部分が見えてきたり自己理解を深めることができます。
自由画(心の形を自由に描くもの)よりもテーマが決まっているので、描きやすい(取り組みやすい)のが特徴です。
この記事ではバウムテストのやり方と注意点を解説します。
バウムテストのやり方
やり方はシンプルで、A4用紙とクレヨンまたは鉛筆を準備し、木の絵を描いてもらうだけです。
「1本の実のなる木を描いて下さい」と本数などを指定するやり方もありますが、本数の指定無し、実の有無も指定無しで描いてもらう方が自由度が高まって良いです。私自身社会人向けの心理セミナーでバウムテストを行うときは
とお伝えして描いてもらっています。
描いてもらっている時
描く時は無音よりも、オルゴール調のゆったりとした音楽をかけると描きやすいです。
カウンセラーは間近で見るのではなく、少し離れて描画者が「なんとなく気にしてくれている」と感じられるような関わり方がベターです。アイコンタクトを送られたらすぐに気付ける感じです。
注意点3つ
1 絵の上手い下手は関係無いことを伝える
描いてもらう時の説明として、
と伝える必要があります。自由画でもそうですが、絵を描いて下さいと伝えると、否定的な反応(描くのを嫌がる)を示される方がいます。小学校時代は絵の上手い下手で評価されていたので無理もありません。上手い下手を評価されると思うと自由に描けないため、上記のように伝えます。
2 時間は区切らない
基本的に5~20分程度で描き終わることがほとんどですが、「~分程度で描いて下さい」等とは伝えない方が良いです。
時間が気になって自由に描きにくくなるためです。本来もっと描きたい部分はあったけれど、時間を気にして止めるケースもでてきます。
ただしグループで行う場合はどうしても人によって差がでますので、ある程度時間が経過した時に「そろそろ仕上げてみて下さい」と伝えることもあります。
3 描けない時の対応法
描けない場合は、木でなくても、線だけでも何かの模様だけでも良いのですが、無理に描いてもらう必要はありません。
無理に描かせても信頼関係が崩れるだけですので、描けない場合は箱庭療法やコラージュ療法をやっても良いですし、エゴグラムなどのやりやすい心理テストでも、会話だけでもOKです。基本的に絵を描くよりも上手い下手が現れにくい箱庭やコラージュの方が取り組みやすいです。
ただし、関わるカウンセラーの態度が受容的(何でも受け止める態度)かどうか、上手い下手は関係無く、良い悪いも無いことを伝えているかどうか振り返ってみて下さい。審査されると思うと描きにくいです。
木の絵を描く理由
木の絵を描く理由はシンプルで、人は木に対して投影しやすいためです。地面に対して直立して立っている生物・植物は、人と木以外にほとんど無いです。
投影とは、自分自身の何か(精神面、肉体面など)をあるものに映し出すことで、なんとなく描いた木にも自分自身の何かが反映されています。それを感じ取ったり読み取っていきます。
参考文献:ドゥニーズ ドゥ・カスティーラ/著、バウムテスト活用マニュアル、金剛出版、2002
↓の通信講座ではバウムテストを体験でき、実際のバウムテストのカウンセリング動画も収録しています。動画主体でカウンセリング、セミナーで体験できるものと近い形で製作してますので是非どうぞ。