アートセラピーは絵画や音楽などの芸術を心理療法に応用したもので、世界中で使われています。
言葉では表現できない心の状態を絵や色で現し、カウンセラーはそれを読み取っていきます。日本でも学校や病院、カウンセリングルームなど様々な場所で使われています。
心理学として確立されているため通常は怪しくありませんが、高額な受講料を支払うケース、アートセラピーで逆に傷ついた場合だと怪しく感じられても無理はありません。
受講料が高額でも、怪しい場合とそうでない場合があります。この記事ではその詳細と、アートセラピーが逆効果になるケースを解説します。
高額な受講料を支払うケース
これは単にアートセラピーを体験するだけでなく、実際に自分自身が使えるようになり、仕事につなげるタイプの資格取得講座です。
受講料がどうしても高額になり、合計で90万円を超えるコースも実在します。
もちろん真っ当な資格取得講座もありますが、問題は資格取得すれば仕事がありますと言われ、受講を促される場合です。
仕事になると言われた場合、事実関係を明確にする
実際問題アートセラピーを学んで、それを仕事にするのは、会話のみの心理カウンセリングよりもハードルが低いです。そのため仕事につなげるのは不可能ではありませんが、基本的に自分で独立開業して自分で集客する必要があります。
日本でどこかにアートセラピストとして雇われて働くのは、基本的に無理です。ハローワークの求人をチェックしてもらえばわかりますが、アートセラピストの求人はまずありません。
※病院で働く公認心理師、臨床心理士、音楽療法士の募集はあります。その場合カウンセリング、心理テストの1つとしてアートセラピーが使われます。
アメリカであればアートセラピストの州立資格があり、病院にアートセラピストが常駐しているところもありますが、日本ではまずそのようなアートセラピストは見られません。
もし資格取得後に仕事につながると言われた場合、
- どんな場所でのどんな仕事なのか
- どのくらいの労働時間で、どのくらいのギャラなのか
- ボランティアなのか、仕事なのか
を会話で明確にしてみて下さい。
スクールによっては過去の受講生の活躍先を進路・就職先と記載し、実際はほとんどがボランティア先という事も十分に考えられます。
アートセラピー講座を受講すると仕事につながると言われた場合、上記のように事実関係を明確にすれば怪しい感じは消えます。
スクール側は資格取得後に仕事があるように見せれば、受講意欲が高まることは把握しています。受講生が多い方がスクールの利益に繋がります。それを踏まえた上で、ウソを言っているようであれば怪しさ満点ですので、その講座、スクールは避けるのをおすすめします。
アートセラピーで傷つくケース2つ
アートセラピーは心理カウンセリングの1つの療法であり、適切に使われないと逆に傷ついてしまい、怪しく感じられます。
次のような使われ方だと逆効果です。
カウンセラーが感情を受け止めない場合
アートセラピーは性質上言葉だけのカウンセリングよりも、無意識で抑えていること、感じていることが出やすいです。
それがアートに出た場合、開いた感情を受け止め、気持ちを落ち着かせた上で日常に戻す過程を踏まないと、気持ちが不安定になることがあります。
例えば震災でショックを受けている子供に、
と伝えると、当然ながらその時のショックや悲しさなどが絵を通して思い起こされます。
このようなアートの場合、そのアートセラピーを提供した人が何らかのフォローをする必要があります。
この場合のフォローとは、描かれたアートのイメージについて話してもらったり、話された内容をしっかりと傾聴し、共感する等です。
特に子どもの場合、大人に比べて素直なだけに感情を開きやすいです。ただ単に描いただけだった場合、表現されたマイナスの感情の行き場が無くなり、逆に心が不安定になることがあります。
マイナスの感情をテーマにしたアートセラピーの場合に起きることですが、提供する側が適切なトレーニングを積んでいないと上記の結果になってしまいます。
また、不特定多数の人にマイナスの感情をテーマにアートを描いてもらう場合、それを出せるタイミング(心の状態)とそうでない時があります。思い出したくない時に無理に悲しい体験を思い起こさせられると、癒やされるどころか傷口が広がる感覚になります。
評価される場合
アートセラピーは絵の上手下手を問うものではなく、自由な自己表現です。
カウンセラーは描かれた絵に対して決して評価しません。しかしカウンセラー以外がアートセラピーを提供し、この考え方を知らずに描かれた絵に対して評価してしまうと、傷ついてしまい、逆効果です。
例えば自分が描いたアートに対して
等と言うような人は、カウンセラーではありません。上記のようなコメントを言われた場合、その人からは即離れるべきです。
関連:絵画療法のやり方と解釈方法|大人の絵の心理分析事例を交えて解説
アートセラピー自体は心理学的に確立されている心理療法
アートセラピーは、心理療法の1つで、絵画療法または芸術療法(絵画療法、音楽療法、造形療法、ダンスセラピーなど)全体を現します。
分析にはユング心理学が使われるケースが多いです。分析の観点を押し付けるようなことはせず、描いた人自身にとってのその絵のイメージを最も大切にします。
効果として自己理解が深まったり、言葉では表現できない思い・感情が表現でき、描くだけで感情の浄化作用が得られることが多いです。