苦手な音があると、ストレスに日常的にさらされます。生活する上で音は避けることができません。
特に下記の音を苦手に感じる方が多いです。
- 人が出す音(小さな咀嚼音、話し声、書く音などの生活音)
- 金属音
- 大きな音(雷、花火、ピストルの音)
騒音や激しいくちゃくちゃ音など、誰しも嫌な音もありますが、周りの人はそうでもないけれど自分だけが嫌に感じる場合はしんどいです。
この記事では嫌な音に感じる心理学的な理由と、それを克服する方法を4つ解説します。ケースによっては瞬間的に克服できます。
嫌な音に感じる理由
理由は非常にシンプルで、過去の何らかの体験でその音=嫌なものという感情が刷り込まれているためです。
例えば子供時代、
体験が何度も繰り返されると、その後お皿を洗う音聞くだけでその時に嫌な気持ちがよみがえってくる場合があります。
これは行動療法では条件付けと言われており、お皿を洗う音とその時の嫌な気持ち、悲しい気持ちが無条件に紐付いている状態です。
理屈は高所恐怖症と同じで、高所恐怖症の場合は高い所で何らかの嫌な体験をした(例:落ちて大怪我をした)場合、その後また高い所に上がると「またそれが起きるのではないか?」とどうしても感じてしまいます。自分を守るためですが、その結果高い所に上がっただけで何も起きていなくても怖さや不安感が出てきます。
条件付けとは、今までになかった新しい反応がつくことですが、生活していると無意識のうちにつくケースも多いです。
嫌な音を克服するには、特定の音=嫌なものという条件付けを様々な方法で外したり、書き換えていきます。
具体的な方法を4つ紹介しますが、すべて実践する必要はなく、いずれかしっくりくるもの1つだけでも大丈夫です。
人が出す音(多少の咀嚼音、話し声、書く音など)が嫌
次のような人が出す音全般が苦手な方がおられます。
この場合、誰かと生活する事=嫌な事という条件付けができています。
過去の何らかの嫌な体験がその理由ですが、例えば幼い時に家庭環境が大変だと子供はそれに耐えるしかありません。特に両親が常にケンカをしていたり、DVや虐待がある家庭環境だと非常に苦しいです。その過程で人が出す音=嫌なものという条件付けができている状態です。
克服方法
条件付けを次のように書き換えていきます。
↓
人と一緒にいる事で「安心できる」場合もある体験をする
具体的には心理カウンセリングを受けるのが手っ取り早いです。幼いときに感じていた人と生活して嫌だった記憶や感情(イラ立ち、怒り、憎さ、悲しさ、寂しさ等)をカウンセリングで出すだけで浄化されますし、それを受け止めてもらえると、人と関わることで得られる安心感を実感できます。
過去の苦しい体験に向き合うには心の体力を使いますが、1度クリアにすればその後の人生において人が出す音がストレスでは無くなりますので、取り組むのが早ければ早いほど楽に生きられる期間も長くなります。
大きい音(雷、花火、ふうせん、クラッカー、運動会のピストルの音等)が嫌
日常的に頻繁にある音ではないけれど、上記のような大きい音を聞くと過剰に怖くなる方がおられます。
この克服方法は非常にシンプルで、上記の音を聞いた時に湧いてくる「怖さ」を取り除こうとせずに受け入れるだけです。
というのも、上記のような大きな音を聞いた時に怖さが出てくるのは自然です。ある意味危険を現す音ですので。
しかしその音がそれほど怖くない人もいますので、そんな人を見ると雷や花火の音が怖いのはダメだという思いが無意識に働き、怖さを否定する、排除する心の動きが出ます。
怖さや不安感は感じればやがて変化していきますが、それを取り除こうとすると余計に大きくなる傾向があります。
※森田療法では精神交互作用と呼ばれています。
そのため雷、花火、ふうせん、クラッカーの音などが怖い場合、シンプルにそれを受け入れて、意識を「怖さを取る」ことに向けるのではなく、その場で必要な事に向ければOKです。
ふうせんがいつ割れるか不安な場合も同様で、自分の中の不安を受け入れて、意識を別の方向に向けるのみです。
花火やクラッカー等、楽しい場で使われる音が嫌な場合、↓の方法も効果的です。
金属音が嫌な場合
金属音は実は日常の中でかなり多い音です。
- 小銭が擦れ合う金属音
- 鍵とドアノブが擦れる音
- フォークとスプーンが当たる音
この音を聴くと震えが止まらない・叫んでしまうという20代前半の女性の方が、なんとか克服したいと以前探偵ナイトスクープに出ておられました。
金属音は日常のどこにでもある音なので、この方は1日に何十回もストレスを感じる状況。小銭をテーブルの上で動かす音が一番きつく、コンビニでもあまり小銭を出さないようにされておられるとの事。
実際にその音を聴くと身体にすごく力が入っていて、「う~」といううめき声も自然と出てくる状態でした。
怖さと条件反射
これは、行動療法でいうと金属音=怖いものという条件反射が出来上がっている状態です。
この女性の場合は、以前何か金属音でもの凄く嫌な体験をされたのではと思います。それがきっかけになって、そのとき以来とにかく「金属音は怖い」という思いが理屈抜きに出てくる状態です。
克服する方法
こういった状態のときには、「なぜその音が嫌なのか?」という心理の部分は深く見ていかないほうがスムーズに問題解決に繋がります。克服する方法はとてもシンプルで、
金属音=楽しいもの という条件反射に書き換えていくだけです。
実際に探偵ナイトスクープでも、ゲームセンターのコインゲームをやることで楽しく克服していました。30分ほどで金属音にかなり慣れ、数時間であっという間に克服。この方は金属音で15年くらい悩んでいたのですが、こういった理屈抜きの「怖さ」は、理屈抜きに瞬間的に克服していくことが出来ます。
ただ1人ではなかなか取り組みにくいことだと思いますので、信頼出来る人と一緒に取り組まれるのがオススメです。
日常生活を送る上で仕方のない音が気になる
多少の咀嚼音や鼻をすする音など、日常生活を送る上で仕方のない、自分も出していることが分かっている音が気になる場合があります。
この場合は非常にシンプルで、自分の中のルーズさを受け入れるだけです。
というのも多少の咀嚼音や鼻をすする音が気になる理由として、完璧でない自分自身を受け入れられていないためです。
そのため完璧でない他人を見ると、それを受け入れられなくてイライラします。
「完璧でなければならない、きっちりしなければならない」思いが無意識にあり、完璧でない自分や他人を受け入れられていない状態です。
この価値観が根付く理由としては、その方が育ってきた家庭環境が大きいです。特に優秀な兄弟と比較されると、姉(兄)のようにいつも優秀でないと、今の自分ではダメなんだ(愛されないんだ)という思いが働き、完璧でなければならないという価値観が根付くケースが多いです。
ですので自分自身が育ってきた環境を振り返って、なぜそう思うようになったのかの自己理解が進むとそれだけで楽になりますし、さらにその価値観を次のように緩めると楽になります。
↓
きっちりした方が良い
まとめ
嫌いな音を克服する方法として
- 「人は安心できる」体験をする
- 怖さを取り除こうとせずに受け入れる
- 条件付けを書き換える
- 自分の中のルーズさを受け入れる
を紹介しました。
嫌な音があっても、ストレスを感じながらでもなんとか生活できます。
克服するときには少しの勇気と心の体力が必要ですが、1度思い切って取り組んでみることで、1日に何十回も感じていたストレスを0にクリアにしていくことが出来ます。早めに取り組めば、それだけその後の人生を楽に過ごしていくことができます。