「年間約3万人が自殺する日本で、突出して自殺率が低い地域がある」
という本の説明を見て、興味津々で読みました。
生き心地の良い町
「生き心地の良い町」というタイトルのこの本。
私自身今年の夏は、スウェーデンでカウンセリング研修を受けつつ、それ以外の空いている日はあちらのキャンプ場で日向ぼっこしたり、漫画や本を読んだりして過ごしてました。
もし日本で同じように過ごしたとしても、その「心地よさ」は別物で、海外だと休むことに罪悪感がほとんどありません。
最近では「外こもり」という言葉もあるくらいです。日本で2か月ほど働いて、バンコクなどの都市で10か月ほど何もせずにこもっている人達も1万人近くいるという。
そこまでするくらいの日本の「生き心地の良くなさ」はなんとなくわかる気もします。
自殺率が低い理由
著者が調べた徳島県海部町は、両隣の町と比べても突出して自殺率が低く、なぜ、この町は突出して自殺率が低いのか?を4年間の現地調査で調べた結果、自殺率が低い理由は「生き心地の良い町」だったから。確かに生き心地が良ければ、自殺しようという思いは湧きにくいものだと思います。
著者は自殺率が低い海部町の特徴を、現地の人と会話を重ねていくことで綿密に調査されています。その中でも特に私の心に残ったのが、
海部町の人たちは、「いろんな人がいたほうが良い」という考えが態度で示されている
ということ。
スウェーデン(自殺率は日本の約半分)に行ったときも、あちらは移民の国なので、「いろんな人がいて当たり前」という雰囲気が漂っていて、休んでいても生き心地がよい感じです。
自殺率が低い徳島県海部町の人達の特徴は、カウンセリングにも通ずるところが沢山あると思いました。
単なる調査の本ではなく、読んだ人自身にも「生き心地の良い生き方」を伝えてくれる、力が抜ける本だと思います。